はじめてのアメリカ文学おすすめ5選―迷ったらまずコレを読もう!

はじめてのアメリカ文学おすすめ5選 選書コーナー
statue of liberty
画像提供:Unsplash

ナイン・ストーリーズ

TITLE : Nine Stories
AUTHOR : J. D. Salinger
YEAR : 1953

アメリカ文学を知るうえでは、やはり
サリンジャーを避けて通ることは
できません。

『ライ麦畑でつかまえて』の作者として、
ご存じの方も多いのではないでしょうか。

おしゃれな語り口と、
登場人物たちの抱える孤独が、
読者を惹きつけてやみません。

『ライ麦畑』から入るのも全然アリですが、
はじめて手に取る本としては、
短い物語でサクサク読める
『ナイン・ストーリーズ』がおすすめです。

実のところ、
「サリンジャーは短編の方がおもしろい」
という評判はよく目にします。

なかでも、本作の最初に収録されている
『バナナフィッシュにうってつけの日』は、

サリンジャーのもっとも有名であり、
かつ最高傑作といっても
過言ではありません。

その結末には、
誰もが衝撃を受けることでしょう。

ちなみに、私パイヌのお気に入りは、
同じ短編集に収録されている
『エズメに捧ぐ』という作品です。

神経症の主人公と、純真な少女の
ささやかな言葉のやり取りが、
微笑ましくもあり、また切なくもあり、

いかにもサリンジャーらしいなと
思うのです。

ハツカネズミと人間

TITLE : Of Mice and Men
AUTHOR : John Steinbeck
YEAR : 1937

スタインベックの小説は
ほとんど映画化されているので、
タイトルは聞いたことがある!
という方も多いのではないでしょうか。

ヘンリー・フォンダ主演の『怒りの葡萄』
ジェイムズ・ディーン主演の『エデンの東』

そして、この『ハツカネズミと人間』も
ハリウッド映画の不朽の名作と呼ばれる
作品のうちの一つです。

このように映画化された作品の数を見ても、
スタインベックという作家の人気ぶりが
よくわかるかと思います。

スタインベックの小説は
どれも非常に読みやすいので、
まるで舞台を鑑賞するような気分
物語を楽しむことができるでしょう。

特に『ハツカネズミと人間』は秀逸で、
閉鎖的な環境にとらわれた人々の
怒りとむなしさが、
手に取るように伝わってきます。

なかでも、衝撃のラストシーン
強く印象に残っていて、

あれほど心をかき乱されるような結末は、
私パイヌが、これまでに読んだ文学作品を
振り返ってみても、
ほかに思い当たるものはありません。

オー・ヘンリー短編集

O. Henry (1862-1910)

オー・ヘンリーの代表作である
『賢者の贈り物』『最後の一葉』は、
子ども向けの絵本にもなっているので、
ご存じの方も多いことでしょう。

この作家の最大の特徴は、
ユーモアとウィットの黄金比です。

ストーリーのおもしろさと、語りのうまさを
オー・ヘンリーほど巧みにブレンドできる
作家はいないと、
私パイヌは確信しています。

会社勤めの真面目な若者から
金庫破りの常習犯まで、
実にさまざまなキャラクターが登場するのも
また魅力です。

読書をはじめたばかりの人にも、
非常に読みやすい内容となっています。

オー・ヘンリーは作品数が多いうえに、
翻訳の種類も豊富です。

どれを読んでもハズレなしなので、
ぜひ一度手に取ってみてくださいね。

ポー短編集

Edgar Allan Poe (1809-1849)

代表作『モルグ街の殺人』は、
推理小説の元祖としても知られています。

「本作がなければ、ホームズもポアロも
金田一も生まれなかった」(紹介文より)
とあるように、

ミステリーやホラー、
SFといったジャンルに
多大な影響を与えました。

ポーの作品は、どことなく、
TV番組「世にも奇妙な物語」の世界観
彷彿させます。

ホラーはホラーでも、
ブラックユーモアをまじえた奇怪な話
といった感じがします。

物語の設定からしておもしろいので、
海外文学に慣れていない人でも
十分に楽しめると思います。

私パイヌのお気に入りは
『メエルシュトレエムにのまれて』です。

科学の知識を使って、窮地を脱するという
スリル満点の展開に、
ハラハラドキドキさせられました。

オー・ヘンリーと同様、
どの作品もハズレなしなので
非常におすすめです。

グレート・ギャツビー

TITLE : The Great Gatsby
AUTHOR : F. Scott Fitzgerald
YEAR : 1925

小説家・村上春樹の
お気に入りの小説としても
よく知られています。

これまでに3度も映画化されていて、

アラン・ラッド、
ロバート・レッドフォード、
レオナルド・ディカプリオといった
豪華な顔ぶれがギャツビーを演じました。

にもかかわらず、
それらの映画化はことごとく失敗している、
という評価もあるとのこと。

昔の恋人を、一途に想い続けた男の悲劇。

その破滅の背後には、
「戦争」「格差」「犯罪」といった
アメリカ社会の影がうごめいていた。

あらすじだけを見れば、
映画化にはおあつらえ向きな気もします。

しかし、実際に読んでみると、
キャラクターの持つ複雑性や、
ストーリー展開の巧妙さなど、

小説ならではの卓抜した技巧に
たちまち驚かされます。

はじめてのアメリカ文学として
この作品をおすすめする一番の理由は、

アメリカという国の背景を知る
きっかけを与えてくれるからです。

翻訳もいくつか出ているので、
ご自身で読みやすいと感じたものを
ぜひ手に取ってみてください。