【おすすめ本】読書のおもしろさを教えてくれた小説5冊

読書のおもしろさを教えてくれた小説5冊 選書コーナー
bookshelf
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告白/湊かなえ
カラフル/森絵都
西の魔女が死んだ/梨木香歩
ストーリー・セラー/有川浩
夜のピクニック/恩田陸

今では読書が趣味といえるほどに
本が好きになりましたが、
そんな私もかつては
「本が読めない子ども」でした。

絵本や紙芝居、人形劇、
子ども向けのアニメなどは
好きでよく見ていたのですが、

文字だけの物語となると、
さっぱり理解できない。

国語の授業はいつも退屈で、
教科書の挿絵をパラパラとめくったり、
イタズラ描きしたり、
時計とにらめっこしたりしながら、

チャイムのお告げを
今か今かと待ち構えていました。

いざ課題を目の前にすると、
「なんでこんなこと、
しなくちゃいけないんだろう?」と

心のなかでぶつぶつと
文句を垂れたものです。

classroom
画像提供:pixabay

転機が訪れたのは高校生の頃。

本好きなSちゃんという友達がいて、
昼休みになると、その子についていって
図書室に通うようになったのです。

以前は「図書室=誰もいない暗い場所」
というイメージが強かったのですが、

その図書室は、大きな窓から光と風が入る
居心地のいい空間で、

カウンターには司書さんもおり、
図書委員の生徒たちのささやかな
たまり場になっている場所でした。

うるさすぎず、静かすぎず、
ちょうどいい雰囲気がそこにはありました。

はじめのうちは、雑誌コーナーにある
映画雑誌に目を通したり、
友達とおしゃべりして過ごすだけでした。

そんなある日、
カウンターの前に展示してあった
「おすすめの本」の一冊を
何気なく手に取ってみたのです。

「これ、おもしろい?」
「うん、おもしろいよ」

『告白』湊かなえ

購入されたばかりの本らしく、
まだ新品でピカピカです。

文庫本サイズで、そこまで分厚くもない。

試しに読んでみようかな。

Sちゃんもおもしろいって言ってるし。

全部読めなくても、
そのまま返却すればいいんだから。

さっそくそのSちゃんにお願いして
貸し出しカードを作ってもらい、
ひとまず本を持ち帰ることにしました。

私でも読めるかな?

課題としてではなく、
好奇心から手に取ったはじめての小説。

最初は、音読しながらゆっくりと
読み進めたように思います。

ところが、ページをめくるうちに、
文字を追うスピードが
どんどん増していきました。

ああ、続きが気になるうぅぅ!

そんな強い気持ちに押されて、
夕飯のあと、通学中、休憩時間、
はたまた授業中にこっそりと
物語にのめり込んでいきました。

そして、ついに
一冊の本を読み切ったのです!

ああ、私にも本が読めた!

文字だらけの本が読めた!

読後の興奮と、読破の達成感で、
喜びも一入でした。

それからというもの、私の読書熱は
みるみるうちに高まっていきました。

本の好きな友達におすすめを聞いたり、
「新潮文庫の100冊」から
おもしろそうなものを探したりして、
次から次へと本を手に取るようになります。

当時はSちゃんの影響で、
有川浩の作品をよく読んでいました。

いやあ、懐かしい。

books by the window
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もしあの高校に入っていなかったら、

もし本好きの友達に出会わなかったら、

もし『告白』を手に取らなかったら、

私はいまだに、読書とは無縁の生活を
送っていたのかもしれません。

いや、それ以前に、卒業後の進路が
まるで違っていたでしょうから、

これらの巡り合わせが、
私の人生そのものを大きく変えてしまった
といっても過言ではありません。

そう思うと、私にとって本との出会いは、
まさしく人生の転機だったといえます。

改めて、人と本とのご縁に感謝です。