日本の昔話
TITLE : 日本の昔話
AUTHOR : 柳田国男
絵本やアニメなどを通して、
子どもの頃から慣れ親しんだ昔話を
文学作品として読み返すことも
また一興です。
本書では、日本各地で採集された
さまざまな昔話が紹介されています。
多種多様に語り継がれてきた昔話ですが、
とりわけ興味深いのが、
遠く離れた土地で、
似たような話が伝わっている
という不思議な実態です。
このミステリーに視点を置きつつ、
考察とユーモアをまじえながら、
物語をおもしろおかしく
語り聞かせてくれます。
日本の伝説
TITLE : 日本の伝説
AUTHOR : 柳田国男
実在する(した)土地や、神社仏閣、
人物などにまつわる由縁に注目しながら、
言い伝えの正体=起源に迫ります。
先ほど紹介した『日本の昔話』にくらべて、
本書はより民俗学的な内容の濃い
作品となっています。
かといって、とっつきにくい
ということはありません。
読みやすさはそのままに、
民間伝承にまつわる一歩踏み込んだ話を
知ることができます。
本書には、
10個の伝説が収録されているのですが、
非常に興味深いことに、
それらが最終的に1本の線でつながる
という仕掛けになっているのです。
神話と史実がつながる瞬間に、
あっと驚くこと間違いなしです。
忘れられた日本人
TITLE : 忘れられた日本人
AUTHOR : 宮本常一
本書は、私パイヌが、
「民俗学」というジャンルに興味を持つ
きっかけとなった本でもあります。
教科書やドラマで取り上げられるのは、
王侯貴族&豪農・豪商が活躍する
歴史のいわば表舞台がほとんどです。
一方で、庶民の暮らしに視点を置く民俗学は
その舞台裏に相当します。
いつの時代もそうですが、
社会のエリート層に対して、数のうえでは
それをはるかにしのぐ庶民が
存在するのです。
にもかかわらず、その暮らしぶりについて、
本人から直接話を聞くという以外に
ほとんど知る機会がないというのは、
むしろ不思議なことではありませんか?
著者のフィールドワークの記録には、
当時を知る庶民たちが登場します。
そこからは、明治・大正・昭和という
激動の時代を生き抜いてきた人々の様子を
うかがい知ることができます。
歴史の生き証人たちの生の声には、
感慨深いものがあります。
日本の歴史をよみなおす
TITLE : 日本の歴史をよみなおす
AUTHOR : 網野善彦
教科書の歴史だけでは物足りない!
そんな方にこそ、
ぜひとも手に取ってもらいたい本です。
日本を揺るがす大事件や、
歴史上の人物たちの偉業については
よく知っているという人でも、
貨幣、穢れ、女性、百姓、荘園、貿易など、
歴史の表舞台にはなかなか出てこないような
テーマについては、
あまり詳しくないという人が、実のところ、
少なくないのかもしれません。
とはいえ、これらの事柄を知らずして、
日本の歴史を理解することは
ほぼ不可能と言っていいと思います。
「真実は細部に宿る」とは
よく言ったもので、
人目を引くテーマだけを追究していては、
いつまで経っても本質的な部分は
見えてきません。
教科書には載っていない、
日本の「もう一つの顔」。
あなたも知りたくありませんか?
ひらがなでよめばわかる日本語
TITLE : ひらがなでよめばわかる日本語
AUTHOR : 中西進
漢字にすると別物になるが、
「ひらがな」にすると同じになる。
日本語には、そのような言葉が
たくさんあります。
たとえば、「顔」のなかに「植物」が
隠れていることをご存じでしょうか。
「目」→「芽」
「鼻」→「花」
「歯」→「葉」
こじつけに見えるかもしれませんが、
実は、すべてにきちんとした
意味のつながりがあるのです。
言葉で「分ける」のではなく、
言葉で「つなげる」。
これは、日本語の特徴でもあります。
昨今では、その曖昧さを問題視する声を
いろいろなところで耳にします。
しかしその一方で、このような日本語の
包容力を見落としてしまうのは、
非常にもったいないことです。
意味の違いではなく、その類似性にこそ、
言葉の本質が存在するのですから。