はじめてのイギリス文学おすすめ5選―迷ったらまずコレを読もう!

はじめてのイギリス文学おすすめ5選 選書コーナー
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画像提供:pixabay

フランケンシュタイン

TITLE : Frankenstein: or The Modern Prometheus
AUTHOR : Mary Shelley
YEAR : 1818

この小説は、SFの元祖といわれています。

そのほかにも、
ホラーやミステリーといった要素も
あわせ持っているので、

さまざまなジャンルに通じる読み物として
楽しむことができるでしょう。

200年も前に発表された作品ですが、
陳腐な感じはまったくしません。

「フランケンシュタイン」と聞くと、
多くの人がハロウィンの仮装を
思い出すかもしれませんが、
原作の怪物はそんなものではありません。

描写がリアルで、とにかく怖い。

夜更かしして読もうものなら、
そのまま悪夢を見てしまいそうです。

科学の力によって、
「人間」を作ることに成功した青年は、
自らの創造物によって、
すべてを奪われていくことになります。

怪物の暴走を食い止めようと奔走する
フランケンシュタインの追跡劇には、
手に汗握るような臨場感があります。

読み進めるうちにぐいぐい引き込まれて、
気づけばページをめくる手が
止まらなくなっていることでしょう。

シャーロック・ホームズの冒険

TITLE : The Adventures of Sherlock Holmes
AUTHOR : Arthur Conan Doyle
YEAR : 1892

大英帝国の歴史と文化を知るうえでも、
シャーロック・ホームズは
ぜひとも読んでおきたい小説です。

ホームズが登場する話としては、
本作よりも以前に
『緋色の研究』と『四つの署名』が
発表されていますが、

はじめての方には、
この『シャーロック・ホームズの冒険』を
おすすめします。

理由は単純で、
こちらの方がストーリーとして
圧倒的におもしろいからで、

「ほかの作品も読んでみたい!」
という気持ちにさせてくれるからです。

シャーロック・ホームズの醍醐味は、
徹底的な証拠集め、科学的な分析、
そして、ホームズの鋭い観察眼にあると
いえるでしょう。

現場に残されたわずかな痕跡や、
関係者の言動といったものに対して、
アッと驚くような見立てをするところが
おもしろいなと思います。

それから、相棒のワトソン医師の存在も
大きいですね。

ホームズの名探偵ぶりを語り伝え、
ときには、彼の右腕として調査を支える
超重要人物です。

この二人のチームワークというのも、
また一興です。

第三のメンバーになったつもりで、
彼らとともに、謎解きに挑戦してみては
いかがでしょうか。

ボートの三人男

TITLE : Three Men in a Boat, To Say Nothing of the Dog!
AUTHOR : Jerome K. Jerome
YEAR : 1889

イギリスの地理や歴史を知る意味でも、
重要なテキストだといえます。

イギリスの文学史のなかでも、
実際に取り上げられている作品です。

かくいう私パイヌも、テキストを通じて
この小説を知ったのですが、

名刺代わりの小説10選」にも入れるほど
お気に入りの作品となりました。

ストーリーはいたってシンプルで、
仲よし3人組+犬1匹が
テムズ川をボートで旅しながら、

各地のさまざまな遺跡をたどり、
くだらない冗談を連発する、
というものです。

遺跡と冗談って、どういうこと?
と思われるかもしれませんが、

そのような突飛な組み合わせも
また見所といえるかもしれません。

おもしろいおじさんが、
テムズ川流域を観光ガイドしてくれる。


そんなイメージです。

本場のブラック・ユーモアも、
たっぷりと堪能することができます。

「堅苦しい本はちょっと…」
という方にこそ、
ぜひともおすすめしたい作品です。

ドリアン・グレイの肖像

TITLE : The Picture of Dorian Gray
AUTHOR : Oscar Wilde
YEAR : 1891

スーパーイケメンが、
ナルシストすぎて破滅するお話です。

「耽美主義(美しさは正義)」
と呼ばれるものの代表作ですね。

モデルである本人も驚いた
美しすぎる肖像画。

ところが、美の結晶ともいうべき
青年グレイの肖像画に
ある日突然、不気味な変化が起こります。

このような「肖像」の仕掛けといい、
ラストシーンの断末魔といい、

美男子が堕落していく様
これでもか!というほどに盛り上げます。

物語の構成として非常に興味深いのが、
冒頭の部分では、主人公はまだ
自分の美しさを自覚していない点です。

青年グレイは、彼の肖像画を絶賛する
画家とパトロンの言葉を聞いてはじめて、
その類まれなる美貌に目覚めるのです。

ぼくは、美しい。

色とりどりの花々に囲まれて、
「美」の化身となった青年は、
いかにして「グレイ(灰色)」へと
成り果てたのか?

絵画を鑑賞するようなつもりで、
とくとご覧あれ。

不思議の国のアリス

TITLE : Alice’s Adventures in Wonderland
AUTHOR : Lewis Carroll
YEAR : 1865

ディズニー・アニメや絵本などを通して、
ご存じの方も多いことでしょう。

この作品は、作者であるキャロルが、
当時交流のあった幼い姉妹のために
作って聞かせた話をもとにして
書かれたと言われています。

イギリスの童謡や、言葉遊びを引用しながら
くだらない冗談で
読者をクスッと笑わせてくれます。

『不思議の国のアリス』は
児童文学というジャンルにとどまらず、
英文学そのものに多大な影響を与えました。

その証拠に、脈絡のある・なしに関係なく、
『不思議の国のアリス』を引用する作品が
イギリスやアメリカの文学には
たくさんあります。

英語圏の作家たちはなぜ、
『不思議の国のアリス』を
ここまで重要視するのでしょうか。

個人的にも、非常に興味深いと感じる
謎に包まれたテーマの一つです。

“go down the rabbit hole”
「本筋から逸れる」「底なし沼にはまる」


一度、深掘りしてしまうと、
抜け出すことができなくなりそうなので、
このあたりで切り上げることにしましょう。

真相はともあれ、興味のある方は
ぜひ一度手に取ってみてくださいね。